桃屋「刻み漬」再現実験


ごはんですよ!」と三木のり平アニメCMでお馴染み、桃屋の商品ラインナップに、かつて「刻み漬」(あるいは「きざみ漬」)なるお漬物があったのですが、憶えている方はいらっしゃるでしょうか。
いきなり話を逸らせて、桃屋の話をさせて頂ければ、瓶詰めにこだわりのある桃屋。僕のお気に入りは「いか塩辛」と「穂先メンマやわらぎ」です。
特に前者は、塩分濃度を極限まで高める手法で常温長期保存を可能にしたエポックメーキングなイカ塩辛です。そう、普通のいか塩辛は冷蔵で、一週間と保ちません。これ、すごいことですよ。
……ほんとに塩辛いけど。


さて、刻み漬。
僕は幼少の頃、刻み漬を銀シャリに振り掛ければ何杯でも食える! ほどに、刻み漬が大好きだったのですが、いつしか「刻み漬」は桃屋の商品ラインナップから外れ、僕にとって二度と食えない幻の「ふりかけ」と化しました。
確か、大根とシソの実のみじん切りの醤油漬けだったと思う。
他にもレンコンやら何やら、刻みまくった野菜の漬物。
あの味を求め、スーパーの漬物コーナーで「狭山茶漬け」を買ったり、「青じそ漬」を買ったりしましたが、全然! やっぱり味が全然違う!
キュウリとか入ってんなよ! 「きゅうりのキューちゃん」味なんか求めてねぇんだよ!!
馬鹿にしてんのか!!!*1


友人と「これさえあれば何杯でもゴハンが食える選手権」の話をする度に、この「刻み漬」の話をするんですが、誰も憶えてないんだよな……。
よもや、まさか、俺の記憶違い……あるにはあったが桃屋の商品じゃなかったとか……


昨年の秋ですが、思い余ったわたくしは、
桃屋のお客様相談室に電話しました!!
「刻み漬」という商品があったかどうか、今手に入れられないか、手に入れられなければ、自分で作りたいので
レシピを教えてくれ!
というド失礼な電話。
どうせ電話オペレーターバイトみたいな事務的な人が、事務的に「ありません」とか「昔のことはわかりません」とか言うんだろうな……と、駄目もとで。


ところが、電話の応対をしてくれた方は、きさくなオジ様。
「あ〜、ありましたねぇ! そんな商品!」
と、電話の向こうとこっちで昔話を咲かせる和やかな雰囲気。
さすがに製造終了となった商品のため、手に入れることは無理だが、レシピ資料が残っていると思われる工場に問い合わせてくれるということになり(!)、
電話の数時間後、メールで返事が届いたのでした。


残念ながらレシピは社外秘の為(当たり前である)、詳しいことは秘密とのこと。
ただし、材料だけは教えてくれました。
材料のひとつ・大根は、ご家庭で作る場合は「塩漬け沢庵が良い」とまで、ちょっとしたコツを教えてくれる丁寧なお返事に、わたくしは感涙しました。


……しかし、シソの実ってどこで買えるんだ?
そんな問題にぶち当たったわたくしは、以来、「刻み漬」の再現には至らず、何か遣り残したことに後ろ髪を引かれる思いで、半年以上の時を過ごして参りました。


ですが、
おとつい、
ブロードウェイ地下、
お馴染みの、
『野方青果』の売り場に「穂紫蘇」を発見。
あれです、あれ、飲み屋の刺身に良くツマとして付いてるシソの実の付いた細枝。あれが『野方青果』で売っているのを発見。


ここからやっと本題。
桃屋の『刻み漬』、再現するぞ!!
材料は桃屋さんに教えてもらえたが、それらの醤油漬けであることまでしか教えてもらえなかったので、漬け汁はわたくしの感覚次第!
もちろん分量もわたくしの適当次第!
最初に言っておくけど、若干失敗しました。
だから、桃屋さん、社外秘を漏らしたことにはなりませんので、笑って許してください。
あくまで再現を試み、失敗したレシピです。



<材料>
・塩漬け沢庵 2/3本
・大葉 5枚
・穂紫蘇 6本
・生姜 1かけら(親指大)
・漬け汁
  醤油 180cc
  みりん 10cc
  料理酒 10cc
  砂糖 大さじ1


<手順>
野菜類をみじん切り。
穂紫蘇は実を外し、枝もみじん切りに。
浅漬けタッパーに野菜を詰め、漬け汁に浸し、一晩漬ける。
漬け汁を取りさらう。


<結果>
味が濃すぎ、生姜味が強すぎ。


<考察>
生姜を長く漬け込めば、もうちょっと生姜味がマイルドになりそう。
しかし、長く漬けるとさらに醤油辛くなってしまうはず。
ということは、漬け汁の味を薄めないといけない。
みりんを増やすと甘さが強くなるので、酒だけを増やして漬け汁の味を薄くするべきか。
ただ、今回は大根を沢庵で代用したため、塩辛い可能性もある。
生大根から長く漬けると、大根の水分で漬け汁の味が薄くなったりするのかもしれない。
あと、「刻み漬」にはレンコンが入ってたと思うんだけどなー、記憶違いかなー。


<おまけ>
大量に余ったシソの実は、醤油漬けにした。
何の味付けもしないで、醤油のみで。
これはシソの実よりも、この『醤油』が美味いらしい。

*1:きゅうりのキューちゃん」には何の罪もありません。